2017年1月26日木曜日

大人の休日倶楽部の旅(3)・強首温泉樅峰苑

「大人の休日倶楽部パス」(これが正式名称)の旅も3日目。
10時25分のバスで嶽温泉を発つ。
間一髪で11時27分弘前発の普通列車に乗れたので、
特急の指定席を予約していたのをキャンセルして、
秋田まで各駅停車の旅をすることにした。
新幹線はもちろん、特急の旅もどうにも味気なくていけない。
急がない旅は各駅停車に限る。
行けども行けども、窓の外は一面の銀世界だ。

弘前を発って2時間半、
固い座席にそろそろ尻が痛くなり始める頃に秋田駅到着。
30分ほどの乗り継ぎ時間を利用して駅弁を食べ、
再び奥羽本線の普通列車に乗って峰吉川に着いたのが15時12分。
列車の本数そのものが少ないので、
予定通り特急で行くより1時間早く到着することができた。
駅まで宿の車が迎えにきてくれていて、
4kmほど離れた強首(こわくび)温泉・樅峰苑へ。
国指定の有形文化財だという豪壮な建物である。


樅峰苑は元々この土地の豪農・小山田家の邸宅で、
小山田家は佐竹氏の秋田移封に伴いこの土地に住み着いたという。
代々名主を務め、現在の当主は十六代目。
戦前は450haもの田地を所有していたというから大地主である。
その富の蓄積の一端が贅を凝らしたこの建物にうかがわれる。


現在の建物は、以前の邸宅が地震で倒壊した後、大正6年に竣工。
今年でちょうど築100年になる。
地元の宮大工を京都に一年間派遣して
耐震技術を習得させてから建築にかかったという話だ。
様々な様式の破風を組み合わせたところに特徴があるというが、
ぼくにはよく判らない。


現在は旅館として活用されているが、
古い建物、とりわけ木造建築が好きなぼくには堪えられない。


この階段は鹿鳴館を模したものらしい。
建築様式には詳しくないが、和洋折衷であるのは判る。
明治の文明開化の波が
歳月を経てこうした形で奥羽にたどり着いたのだと思えば、
趣もひとしおというべきか。

温泉としての歴史は浅く、
1964年、天然ガスを試掘したところ温泉を掘り当てた。
それを機に小山田家は旅館に転業。
当初は数キロ離れた泉源から湯を引いていたが、
経済的に合わないので9年前に自家泉源を掘った。
ほどなくして東日本大震災があって元々の泉源は枯れてしまい、
いまでは樅峰苑だけが温泉旅館として残ったのだという。
泉質はナトリウム塩化物強塩泉、
つまり、舐めてみるとかなり塩辛いのである。
各地の温泉をまわってきたが、ここまで塩辛いのは記憶にない。


泉温49℃、無加水、無加熱の100%源泉掛け流し。
宿泊客は貸し切り露天風呂に入浴できる。
心地よいが、やはり一人では淋しい。
いつの日にか、若い娘と一緒に入浴したいと妄想を逞しくする。
前日、前々日の硫黄泉とは違うが、これもまたいい湯である。

この宿の特徴は食事が実に美味しいことだ。
松楓荘、山のホテルに比べると宿泊費が5千円ほど高く、
今回の旅で最も贅沢をした宿だが、それだけのことはある。
ぶりこを腹いっぱいに抱えた鰰の醤油麹漬け焼きを除けば、
すべてが山の幸、川の恵みで、ぼくにはそれが嬉しい。


あみ茸、湯葉、鯉の甘露煮…
上の写真はモクズガニの味噌を甲羅に入れて焼いたもので、
一人前に5〜6杯の蟹を使っているという。
実に濃厚な味わいで、日本酒好きにはたまらない。


こちらは同じモクズガニの唐揚げで、香ばしさが身上。
ともかく、いずれの料理もおいしくて、酒が進む、進む…。
その酒も、
「まんさくの花」で知られる
横手市の日の丸醸造(大きく出たネ)が醸したオリジナル純米吟醸、
ビールも「田沢湖 湖畔の杜」のデュンケル、ピルスナーなど、
他でなかなか飲めない銘柄があって申し分ない。
3泊4日の最後の夜を満喫した。

ぼくは「源泉掛け流し原理主義者」の温泉好きで、
いままでも結構あちらこちらの温泉をまわってきたが、
今回の旅は3泊とも水準を超える、個性的な温泉宿で満足をした。
次回の「大人の休日倶楽部パス」では何処に行こうかと、
いまから期待を膨らませている。
東北は広い。まだまだ訪れたことのない温泉が山ほどある。
そして、信州や甲州、越後、加賀、伊豆、群馬に栃木…
百まで生きないと、とても回りきれないなあ。









3 件のコメント:

  1. すてきな 温泉ですねぇ・・・

     上海蟹 と どっちが?
    おいしかったのか?  ちょいと 気になりますね。奥様?

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    1. 奥様抜きの一人旅でしたので、恨まれてます…w
      モクズガニはいま
      半壊滅状態の上海蟹の代用品として注目されているようですが、
      ぼくの記憶の中ではやっぱ上海蟹ですかね。
      味噌がさらに濃密な味だったように思います。

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  2. 旅館の外うちの写真を翌朝撮ったものに差し替えました。

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