2017年1月25日水曜日

大人の休日倶楽部の旅(2)・嶽温泉 山のホテル

9時45分、きのうも乗ったボンネットバスで、松川温泉を発つ。
この便を逃すと、午後になるまでバスはない。


地元のおばちゃんによると、
曲がりくねった雪の山道を登れるバスが他にないので、
古いバスをメンテナンスしながら使っているそうだ。
冬季間だけの運行で、
してみれば、
何も知らずに来てこのバスに乗ったぼくは運が良かったのだろう。
なにせ日本にもはや数台しかないという話らしいから。

盛岡駅から新幹線で新青森へ。
この間はトンネルばかりで旅の風情も何もあったものではない。
特急つがるに乗り継いで、弘前へ。
この街には、四半世紀の昔、けっこう通った。
青森県がリゾート法の指定を受ける直前で、
様々な思惑が飛び交い、
岩木山周辺の町はどこか浮き足立って見えた。
戦後、岩木山麓での国営パイロット事業が失敗して、
事業に参加したリンゴ農家のほとんどが莫大な借金を抱えていた。
あわよくば、リゾートブームの波に乗って土地を売り、
起死回生をもくろんでいたのである。
それから10年ほどして、
リゾートブームの行く末を見届けようとぼくは再びこの地域を訪ねた。
そのときには、ブームはまさに泡沫のように弾けた後で、
リンゴの果樹園だったところが
荒れ果てるにまかせて見棄てられていたのは無惨な光景だった。

弘前からバスで1時間ほど走って嶽温泉に着く。


リゾートブームの当時、取材の拠点として何泊か泊まったところだ。
きのう松川温泉で青森の御夫婦と話していて思い出したのだが、
小島旅館という宿で、食事がとてもおいしかったという記憶がある。
今夜の宿は「山のホテル」で、
その小島旅館に隣接しているのであった。


建物は比較的最近改修したのか、新しくきれいに見えた。
トイレもシャワートイレが部屋ごとについている。
もし、うちのかみさんを連れてきていたら、
昨夜の松楓荘ではすっかり機嫌を損ねたに違いないが、
この宿なら許してもらえるだろう。
そのぶんだけ、秘湯の趣は希薄である。


風呂は二ヶ所にあって、露天風呂はない。
泉質はいずれも同じで、酸性含硫黄―カルシウム―塩化物泉。
白濁していて、硫化水素臭が強い、気持ちのいい湯だ。
当然、源泉掛け流し。
宿泊客用の浴室(写真)の前には自家製の甘酒が用意されていて、
風呂上がりに甘酒とは珍しいが、これが案外いける。
今回は蒲団を自分で敷くコースにして、
浮かせた予算で追加料理の鹿肉のたたき(864円)を注文した。
我ながらなかなか合理的であるw


食事は宿泊費の割には美味しく、
鮪、鰤、甘海老の刺身が出たのは感心できないが、
舞茸の土瓶蒸しや桜しめじのずんだ和えなどぼく好み。
リンゴのクリーム焼きも地域色があって嬉しい。


中に入っているのはグラタンで、
鍋も蓋もリンゴだから当然食べられる。
酒は「豊盃」など地酒三種類の利き酒セットを頼んだ。
締めのご飯はこの宿の名物らしいマタギ飯。


鶏肉に舞茸、竹の子、牛蒡、人参などを混ぜて炊き上げたもので、
先代の当主が熊狩りのマタギだったことから
メニューに採り入れたものらしい。

昨日の松楓荘は素晴らしい泉質に特化した宿だったが。
山のホテルは泉質・食事・設備のバランスがいい。
万人向けというべきか。
松楓荘もそうだが、
昨今は山の中の宿でもWi-Fiが飛んでいて、
こうしてブログを更新したりすることができる。
「Wi-Fi完備の秘湯」というのも時代の趨勢なのだろう。

1 件のコメント:

  1. 昨年かなぁ・・・ 民放ドキュメントで
     ようやく マタギ祭 復活したけど・・・
     お肉が???   という おはなしでした。 (ベクレル)

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